2016年07月21日

「義務付け訴訟」の種類、訴訟要件、勝訴要件等

7月16日、水害・被害者の会の集まりで
坂本博之弁護士が、国家賠償法の他に、
刑事告訴住民訴訟義務付訴訟ということも考えられる旨、ご教授下さいました。
http://office-aoba01.seesaa.net/article/440112452.html

ここでは、「義務付け訴訟」について考えてみたいと思います。

義務付け訴訟とは、「行政庁が一定の処分又は裁決をすべきことを命じることを求める訴訟」のことをいいます。
簡単に言えば、「裁判所が国などに対して、〜するよう命令して!」と訴えるものです。

義務付け訴訟は、行政事件訴訟法第3条第6項により、
第1号と第2号の2つに類型化されています。


(1)直接型(非申請型)義務付け訴訟(1号義務付け訴訟)

  • 申請権を持たない者が原告となり、行政庁に対し一定の処分をすべきことを判決により義務付けようとするもの。
    例えば、・・・
    • 違法な高層マンションにより日照等を阻害されている周辺住民が、行政庁が建築主に対して、マンションの違法部分の是正命令を出すように求める義務付け訴訟
    • 違法建築物の撤去処分の義務付け訴訟を、建築物の周辺住民が提起する場合
    • 原子力発電施設の改善命令の義務付け訴訟を、施設の周辺住民が提起する場合、など



(2)申請型義務付け訴訟(2号義務付け訴訟)

  • 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求をしたが、当該行政庁がその処分又は裁決をしないとき、判決により処分等をすることを義務付けるもの。
    例えば、・・・
    • 生活保護処分の義務付け訴訟
    • 社会保障に関する給付の申請に対して行政庁が何らの処分をしない場合またはその申請が拒否された場合に社会保障の給付をするよう求める義務付け訴訟、など

 



水害訴訟で義務付け訴訟を行う場合、法令に基づいた申請ということは考えにくく、(1)の非申請型義務付け訴訟でいくことになると考えられますので、以下、(1)の非申請型義務付け訴訟について見ていきます。
行政事件訴訟法は下記リンクをご覧下さい。
http://goo.gl/4spOh3

直接型(非申請型)義務付け訴訟(1号義務付け訴訟)


【訴訟要件】(行政事件訴訟法第37条の2第1項、第3項)

  • 次のいずれにも該当すること。
    (→次の3つを同時に満足しない時は訴訟を提起しても「却下」される。)
     
    1. 一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあること。
      • 裁判所は、「重大な損害」を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとすると定められています。
       
    2. 他に適当な方法がないこと。
       
    3. 法律上の利益を有する者であること。
      • 裁判所は、「法律上の利益の有無」を判断するに当たっては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとすると定められています。



【勝訴要件】(行政事件訴訟法第37条の2第5項)

  • 次のいずれかに該当すること。
     
    1. 処分をすべきことが根拠法令の規定から明らかであること。
       
    2. 処分をしないことが裁量権の範囲を超え、又は濫用となること。



【被告適格】(行政事件訴訟法第38条→第11条)

  • 国または公共団体を被告として提起



【管轄】(行政事件訴訟法第38条→第12条)

  • 被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所、または行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する(その他、例外あり)。


【共同訴訟】(行政事件訴訟法第38条→第17条)

  • 数人は、その数人の請求が処分の請求と関連請求である場合に限り、共同訴訟人として訴えることができる(被告の同意が必要)。



なお、「改正行政事件訴訟法施行状況検証研究会 報告書」(平成24年11月)の
9/119〜22/119ページが「義務付け訴訟」となっていますが、
http://goo.gl/CEIYB5
その実際の施行状況を見ると、
「棄却」や「却下」が多く、「認容」はわずかだということがわかります。


坂本博之弁護士が
「行政訴訟(住民訴訟、義務付訴訟など)は、勝つのは難しいが、世論喚起や国にわからせるという効果はある。
勝ち負けはともかく世論をつくっていく、政策をつくっていくという裁判もある。」
と説明して下さいましたが、もしも義務付け訴訟を行うとなると、世論喚起ということが前面に立つのかなあと思っています。

と言いますか、「訴訟要件」をそもそも満たすことができるのかどうか・・・ここも問題だなあと思いました。

弁護士の先生と、もっとよく相談をしないといけないなと思っています。


【参考】

  • 行政事件訴訟法
    http://goo.gl/4spOh3
     
  • 千葉県 政策法務ニュースレターvol.1-4 改正行政訴訟法「義務付け訴訟・差止訴訟の法定」
    https://goo.gl/kdwdnj
     
  • 弁護士法人 淀屋橋・山上合同 改正行政事件訴訟法
    http://goo.gl/cHwjjU
     
  • 占部行政書士事務所 義務付け訴訟(行政事件訴訟法)
    http://goo.gl/dLhtf1
     
  • クマべえの生涯学習大学校 行政法「行政事件訴訟法(2)『抗告訴訟』」
    http://goo.gl/7hSSVb
      



posted by joso at 00:20| 検証 鬼怒川水害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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