2016年08月02日

鬼怒川水害訴訟:「瑕疵責任」のたたき台(案)Ver.4

さて、この間にも鬼怒川水害訴訟における
「瑕疵責任のたたき台」(案)に加えるべき事項が出てきていますので、忘却する前に整理して公表しておきたいと思います。

いつものように、今回新たに加えたものは赤文字、削除したものは見え消し線、前回と変わらないものは黒文字としてあります。
ここで、「前回」とは、1つ前のバージョンのことです。
また、見え消し線で消した部分は、後々まで忘れないようにそのまま見え消し線で消してあります。

今回は、7月26日以降に新たに見直しを行った結果をご紹介致します。
私の気付いていない瑕疵責任を見つけられた方は是非、コメント欄に投稿の程お願い申し上げます。


(1)国家賠償法

項目 対象 考えられる瑕疵
若宮戸
溢水
  • 今までに何度も堤防を造るよう要望してきたが国は対応しなかった。
    水害後、1年も経たずに築堤は完了する。やればできるのに、やらずに放置してきた。
     
  • 流量2400m3程度で溢水が開始した。堤防があってしかるべき場所だったが国は放置してきた。これは国の不作為だ。
    計画流量の半分以下も流せないような河川だったことは問題で、安全に河川の水を流せなかったのは国の過失だ。
     
  • 河川法を順守せず、河川の拡幅工事や河道掘削をしてこなかった。これは瑕疵だ。
      
  • 自然堤防を民間事業者が掘削したところ、国は大型土のうを2段積んだ。
    土のうを積んだという行為は危険があるということを察知していたからである。
    大型土のうは単に積まれただけのもので非常に脆弱なものであった。
    鬼怒川の河川流量は1秒当たり5000m3である。大型土のうでこの流量に耐えられるものではなかったことは明らかである。
    どうしても大型土嚢で対処するしかないのであれば、矢板を打ち、土嚢も移動しないよう固定し、両面シートをかぶせ堅固なものにすべきだった。
    水害後に積んだ土嚢はシートが全面にかけられていたが、水害前の土嚢は土嚢が置かれ、積んだだけのものでしかなかった。
    国はこれで安全だと考えていた。
     
  • 平成26年6月下旬に大型土のうの設置は完了したが、付近の堤防よりも一段低いため洪水の危険性が極めて高いとして、平成26年7月28日に常総市長名で築堤工事をするよう国に要望書を提出している。
    市は付近の堤防よりも一段低いことを認識しており、国もそれを認識したことになる。
    危険を認識していながらそれを放置したということは国の不作為である。
     
  • 常総市防災会議は、平成25年3月に「常総市地域防災計画」を取りまとめている。
    この資料編には、国が作成した資料が掲載されている。
    この資料に掲載されている「市内河川重要水防区域」に、溢水した現場は「計画水位が現況堤防高以上あり、堤防断面、天端幅が1/2未満である」と記されている。
    国は溢水する可能性のある場所だということを以前から知っていたにもかかわらず長年放置してきた。
     
  • 国はソーラーパネルが施工された場所は河川区域外の民有地であり管理外だと主張するが、河川法第6条第1項第3号によれば、「堤外の土地の区域のうち、第一号に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるものとして河川管理者が指定した区域」は河川区域に指定できることになっており、河川管理者は河川区域に指定すべき場所だった。
     
  • 河川法 第6条第1項第3号の政令で定める堤外の土地に類する土地は、河川法施行令1条1項1号で「地形上堤防が設置されているのと同一の状況を呈している土地のうち、堤防に隣接する土地又は当該土地若しくは堤防の対岸に存する土地」とされている。
    国はソーラーパネルが施工された場所は、河川区域外の民有地であり管理外だと主張するが、自然堤防もまた「第一号に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるものとして河川管理者が指定」(河川法6条1項3号)すべき場所であり、管理外だとして管理してこなかったことに瑕疵が存する。

     
  • 水管橋のところは、2001年7月に2704トン、2002年7月に2765トンで各々溢水した。今回は2400トンで溢水している。2001年の時も堤防を造ってくれと要望が出ていた。市か住民から出した。
    2001年に堤防築造要望したが15年も放置したのは不作為だ。

     
  • 河川パトロールで危険箇所の抽出ができ、対処できたはずだ。漫然とパトロールをしてきたことにより、このような結果になった。
茨城県
  • 茨城県は治水負担金を111億円も拠出している。
    国は堤防を造るよりも上流にダムを造ることを優先した。ダムを造ることが県民の生命・財産を守ることに繋がるとして支出されてきている。しかし、水害を防ぐことができず、県民の生命・財産を守ることができなかった。
常総市
  • 水管橋そばの市道は自然堤防を切り開いたものになっており、周辺よりも一段低くなっていた。
    本来このような道路を設置してはならなかった。
    水管橋そばの溢水はこの道路が原因となっていると考えられる。
事業者
  • 自然堤防を削ると危険だとして、国や市が事業者に削らないよう要請したが削った。
上三坂
堤防決壊
  • 常総市防災会議は、平成25年3月に「常総市地域防災計画」を取りまとめている。
    この資料編には、国が作成した資料が掲載されている。
    この資料に掲載されている「市内河川重要水防区域」に、破堤した現場は「重点」区域として指定し、「計画水位が現況堤防高以上あり、堤防断面、天端幅が1/2以上である」と記されている。
    国はこの区域を重点区域とし、危険な場所であるということを以前から知っていたにもかかわらず長年放置してきた。
      
  • 鬼怒川の河川流量は1秒当たり5000m3であるが、破堤はそれ以下の流量で生じた。
     
  • 少なくとも旧建設省時代の平成8年から平成10年に「耐越水」堤防や「フロンティア堤防」に関係する記述が「建設白書」に登場する。
    越水に強い堤防技術が既にあり、施工事例もあったにも関わらず、国はその技術をダム建設推進やスーパー堤防推進のために封印した。
    耐越水堤防であれば、堤防決壊という最悪の事態にまでは達しなかったと考える。
    平成17年度国土交通白書には「災害後に事後対策を講じるよりも、事前に災害を防ぐための投資を着実に推進することが、より効率的・効果的である。」とも記されている。優れた技術を被害が発生する前から採用しておくべきだった。
     
  • 「河川堤防設計指針(第3稿)」が平成12年(2000年)6月に出され、越水に対する耐久性の高い堤防の設計に踏み込んだ設計指針となっている。
    しかし、その後、「河川堤防設計指針(第3稿)」は、耐越水機能に関すること等検討中の内容を含めて直轄管理区間における河川管理者の部内資料として暫定的に示したものであるとして、「河川堤防の設計について」(平成十四年七月十二日付け国河治第八十七号国土交通省河川局治水課長通知)における「河川堤防設計指針」において、一連の堤防で確保すべき耐越水機能に関する技術的知見が明らかになっていないとして、耐越水機能について削除された。
    「越水に対しても一定の安全性を有するような堤防(難破堤堤防)を整備する必要がある。」と「河川堤防設計指針(第3稿)」に明記されているにもかかわらず、それは暫定的なものだという言い逃れは許されない。
    また、技術的知見が明らかになっていないものを「河川堤防設計指針(第3稿)」に掲載するなんていうこと自体、あり得ない。
茨城県
  • 茨城県は治水負担金を111億円も拠出している。
    国は堤防を造るよりも上流にダムを造ることを優先した。ダムを造ることが県民の生命・財産を守ることに繋がるとして支出されてきている。しかし、水害を防ぐことができず、県民の生命・財産を守ることができなかった。
常総市
  • 避難指示を出し損ない、尊い命も失われた。大勢の住民が避難できずに取り残され、死の恐怖を否応なく体験させられた。
八間堀川
周辺
  • 国管理の排水樋管の閉めそこないにより、氾濫水本体が来る以前に橋本町を中心に水没させ、住民を避難できない状況にさせた。貴重な財産を避難させる時間的余裕を奪った。
    水害後、国は手動の排水樋管をフラップゲート式排水樋管に早々に交換した。
    こういう技術があり、簡単に交換できるにもかかわらず、国は放置してきた。なお、新八間堀川左岸の国管理の排水樋管は水害前からフラップゲート式排水樋管であった。

     
  • 国交省は、平成27年9月10日午後0時50分に常総市三坂町地先で堤防が決壊したことを受け、八間堀川排水機場のポンプの運転を継続すると、さらに鬼怒川の堤防が危険な状態となるとして、同日午後1時頃に、八間堀川排水機場のポンプの運転を停止しました。その後、ポンプ運転の影響が上流決壊箇所に及ばないと判断し、9月10日午後10時30分頃にポンプ運転を再開しました。
    決壊地点は八間堀排水機場から約10km上流にあり、しかも、当時の鬼怒川は3,000〜4,000m3/秒(水海道)が流れており、八間堀川排水機場のポンプ能力は30m3/秒なので、運転しても、鬼怒川流量の1%以下でした。
    上流が決壊したことにより水海道観測所の水位も低下しており、ポンプの運転を停止したことは判断の誤りだった。
常総市
  • 排水樋管の閉めそこないにより氾濫水本体が来る以前に橋本町を中心に(新井木町や諏訪町も)水没させ、住民を避難できない状況にさせた。貴重な財産を避難させる時間的余裕を奪った。
     
  • 常総市は、平成23年9月の台風15号で排水樋管閉め損ないによる浸水被害を起こし、常総市は排水樋管の閉めそこないは常総市の責任だとして総額2753万9106円の損害賠償金を支払っている。
    これに対して住民監査請求が出された。
    この際、常総市は排水樋管の総点検を行い、管理状況を再確認する機会があったが、その機会をみすみす逃した。
    今回の水害で、氾濫水本体が到達する以前に逆流が発生し、水没した地区にある排水樋管の管理者は市である。 
江連八間土地改良区
  • 小貝川と八間堀川の合流点に水海道排水機場があるが、3台あるポンプの内1台しか動かず、2台は故障していた。
    江連八間土地改良区は常総市からこれらの管理を行うために年間600万円を超える補助金を受け取ってきている。
     
  • 新八間堀川と旧八間堀川の分岐点にある旧八間堀川樋管の管理を怠り、旧八間堀川の計画高水位(Y.P.+12.500m)に達した後も開放したままであったため、旧八間堀川沿いを水没させた。
     
  • 江連八間土地改良区が管理している排水樋管は閉められずに開いていた。
その他 常総市
  • ハザードマップで水没することがわかっていた常総市役所本庁舎に避難者を受け入れ、避難者の自動車等を水没させた。
    国からのホットラインで市役所も水没する危険性が高いとされたにもかかわらず、避難者を高台に避難するよう誘導しなかった。
    (市長はそのホットラインを受け取っていないと主張しているが、その回以外は受け取っており、非常に不自然である。)
     
  • 市による避難指示が遅れたため、逃げ遅れたのは市の責任である。

 
(2)その他

項 目 対 象 内   容
刑事告訴 常総市
  • 犠牲者が出ているので業務上過失致死による刑事告訴も可能だろう。
     
  • 水害で怪我をした人がいれば業務上過失致傷による刑事告訴できるだろう。
     
  • 刑法第119条「現住建造物等浸害」で刑事告訴をするには、故意がなければ無理とのことだが、国交省や常総市も自然堤防を削らないように要請していた。つまり、そこを削れば住民が危険にさらされることは知っていたことになるのでは?
住民訴訟 茨城県
  • 地方自治法第242条に基づき、茨城県を相手に治水金負担金の支出差し止めを求める。
常総市
  • 地方自治法第242条に基づき、常総市を相手に江連八間土地改良区に対する補助金の支出差し止めを求める。
     
  • 市は江連八間土地改良区に排水機場等の管理費として毎年600万円以上の補助金を支出してきている。しかし、江連八間土地改良区は管理を怠っていた。公金の使い方に問題があるとして市を訴え、江連八間土地改良区に対して市が損害賠償請求せよと要求する。
義務付訴訟
  • 常総市内の堤防を速やかに耐越水堤防にしろと求める。
     
  • 常総市内の排水樋管を速やかにフラップゲート式排水樋管に交換するよう求める。
違法確認訴訟    



(3)注意

  • 時効は、被害が発生してから「3年」
  • 大東水害訴訟以降、水害被害者は裁判で勝てなくなった。
    多摩川水害訴訟では被害者が勝ったが、18年も要した。





posted by joso at 00:20| 検証 鬼怒川水害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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